かなり背水の陣

「黒むー先生ぇ、いい加減男らしく腹をくくってくださぁい」
「断わる」
「もう、黒様ってばー」
「…」

「侑子先生はじめ生徒教職員一同に漏れ無く、オレが黒ぴー先生に片思いで絶賛猛アタック中だって知られてるんだから観念しようよー。
オレとお付き合いしちゃえば日々注がれる憐れみの視線とさよなら出来るよ？」

「絶対嫌だ」

　理由

「ユゥイはずるい」

「はあ？」

「だって黒様ったらオレとユゥイに対する態度全然違うんだよ！？」





「そりゃオレはお風呂や寝室を盗聴も盗撮もしないし、一服盛ることもないからね」

　嫌な落し物

四月一日は廊下でパスケースを拾った。
他人のものなので覗き見るのは気が進まないが、落とし主がわからなければ返しようがない。
折り畳まれたそれをしぶしぶ開いた。



「ファイ先生。これ落ちてましたよ」
「わーい、ありがとー。四月一日くん。
でもよくオレのだって分かったねー」
「ええ、まあ…」


着替えている体育教師(上半身裸)の写真を持ち歩く人間が他にいるわけがない。

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