繋がるということ

百目鬼×四月一日




繋がるということ


 別に悪いことをしているわけではないのに、ごく一般的な行為だというのに。手を繋ぐという事は特に取り立てて言及するような行動でも無いのに、相手がこの無愛想な男だというだけで酷くやましい事をしている気分になるのは気のせいなのだろうか。
「どうした」
「……どうしたもこうしたも、なんでお前なんかと手を繋いで歩かなきゃなんねーんだ!」
「お前が柱の陰に隠れている妖に魅入られてしまったからだろう」
「で、ずっと手ぇ繋いでおくわけかよ」
 立ち止まった四月一日を引っ張るようなことはせずに、百目鬼は淡々と言葉を返した。
「そうしないと憑かれるんだろう」
「それは……その…」
「心配するな。メシはあーんして食わせてやる」
「あ、ぅ……あ、あーんとか言うな!気色悪い!」
 当然そう返ってくるだろうと予想していた百目鬼は、悪びれもせずに別のことを口にする。
「そうか、ならばお前が食べさせてくれ」
「な、なんでっ!」
「それが嫌なら口移しだな」
 憤死してしまいそうな四月一日の顔を少しだけ楽しそうに眺めながら、百目鬼は握った手に少しだけ力を込めた。四月一日が不幸に見舞われないのならば、ずっとこのままでもいいと伝えたくて。

2007年1月発行ペーパーおまけSS