みすたーどーなっちゅ!

堀鍔学園/黒鋼×ファイ(女体化)

「はぁーい、甘ったるい大衆菓子ですよー」
「素直にミスドのドーナツって言えねーのかお前は」



みすたーどーなっちゅ!
堀鍔学園/黒鋼×ファイ(女体化)



 貰い物だから、と不均等割にされたドーナツを前に、ファイはコーヒーを用意して何故か体育準備室にいた。不均等なのは、理事長がやはり一番多いからだ。
「甘ったるいものは好かん。お前が食え」
「えーこれ甘くないんだよー。このこっちの奴、そうきなこでねぇ、きなこ餅みたいだから黒様でも食べられるよー。オレのはねーエンゼルクリームのカスタードバージョンなんだけど、こっちのほうが良かった?」
「……どっちもいらん」
「せっかく侑子先生がくれたのにー」
 ぷう、と頬を膨らませて怒ったふりをするファイは、嫌そうな顔の黒鋼を下から覗き込む。縋るような上目遣いがこの男には効果的だと良くわかっているからだ。見下ろすとブラウスから覗く胸の谷間と下着のレースも非常に効く。この胸が、恐ろしいほど柔らかくて、頬ずりしたくなるほど肌触りがいいのも、黒鋼はよく知っているからだ。大人の事情で。
「自分で食べたくないのなら、オレ、あーんしちゃうよー」
「するな!」
「はいあーん」
「ッ!むぐ……」
 黒鋼の言葉など、少しも聞いちゃいない。強引に一口サイズに千切ったドーナツを口の中に突っ込んで、手についたきなこをぺろりと舐めている。
「ん、おいしー」
 弾力のある米粉のせいで、よく噛まないと飲み込むことも出来ない。それがまた餅にそっくりで、しかし餅とは違う食感で、なかなかに歯ごたえがあるのだ。もぎゅ、もぎゅ、と頑張ってから飲み込んで、ファイの頭をぶん殴ろうとすると第二弾、今度は黒胡麻が押し付けられる。
「んぐーっ!」
「あは、これもいいよねー」
 今度こそはと飲み込むと、第三弾チョコあられが突っ込まれた。食べながら殴ればいいのに、育ちが宜しいのかそれは出来ないらしい。全種味わったあとに怒鳴ろうとするも、今度は口元をファイの柔らかい唇が襲う。ちゅ、と触れるだけのそれは、ドーナツよりも甘ったるいくせに、嫌ではないから始末が悪い。
「……甘ぇ」
「カスタード、嫌いだった?」
 わかっていてやったくせに、ファイはまだ上目遣いのまま黒鋼に尋ねる。嫌いとは言わないのをわかっていて、ファイは黒鋼に凭れかかった。
「ねーねー」
「……こっちのきなこの奴は、食えなくもない」
「そう?じゃあ、オレは?」
 あっけらかんと問いかけるファイに、姦計はあっても悪気はないので更に手に負えない。
「……ここでは食えねーな」
「えー食べず嫌いは駄目だよー」
「そういう問題じゃねーよ!」
 黒鋼の腹に当たっている、二つの柔らかな膨らみが、じわじわと男の理性を溶かしていく。米粉ドーナツのように弾力のある理性だったのに、口に入れた途端に広がるカスタードクリームのようにもはやどろどろで元には戻せない。
 静かで、誰も来ない体育準備室で、たった二人で、ぴったりと密着して、甘い甘いドーナツはまだ残っている。
「甘ったるいことこの上ないな」
「だから言ったでしょー」

 化学教師を体育準備室に招きいれた時点で、すでに黒鋼は白旗を揚げている事に、まだ気付かない。

2009年1月書き下ろし